【テンプレート付き】スタートアップのための事業計画書の書き方を徹底解説
「起業にあたって融資をして欲しいけど、事業計画書の書き方がわからない!」「何回も資金投資を拒否されてしまったので、効果的に自社のことを伝えたい!」「そもそも事業計画書って、どんなことを書けばいいの?」このような悩みを抱えていませんか?
この記事では、VCとして数々の事業計画書に目を通し審査をしてきた私たちが、スタートアップに特化して、
・事業計画書とは何か
・効果的な事業計画書の書き方
・事業計画書を書くためのステップ
をご紹介します。この記事を読めば、あなたも効果的な事業計画書を書けるようになり、銀行やVC、投資家などから融資・投資してもらえる確率もグンと上がるでしょう。
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事業計画書とは
事業計画書とは?
事業計画書とは、一言で言うと、事業のこれからに関する計画を記載した資料のことです。
事業の内容や経営戦略、今後の収益の見込みや同業他社との違いなどを書き、事業の将来性や返済可能性をアピールします。つまり、事業計画書には「うちの会社はここが良くて、こんなに凄いんです!ぜひ投資してください!」と相手を説得するような、力強さと、よく整理された内容が求められると言えるでしょう。
事業計画書に決まった形式はありませんが、一般的には、
- 事業の概要
- 代表者の経歴
- 理念
- 自社の強みやアピールポイント
- 市場の状況や同業他社との競合
- 主な販売戦略
- 仕入れ先や卸先などの取引状況
- 生産方法
- 収益の予想
- 損益計算の予測
- 必要な資金
などを簡潔に、創業者の想いが伝わるように書きます。
融資申し込みのための事業計画書を作成する場合は、各金融機関ごとにフォーマットがあることが多いので、それに従って書きましょう。この記事の最後に、フォーマットをダウンロードできるリンクも用意してありますので、是非ご利用ください。
事業計画書の決まりは?
事業計画書には、決まったルールはありません。しかし、意識した方が効果的な事業計画書になるというポイントをご紹介します。
事業計画書では、様式の有無を問わず、以下のような経営に関わる疑問点に対する回答を求められます。
- 何をする事業なのか
- どうやってこの事業で収益をあげるのか
- どれほどの収益見込みがあるのか
- どうやってこの収益を見込んだのか
そこで役立つのが、事業の方向性や内容などを固めていくのに役立つ「6W2H」です。
6W2Hは主にマーケティングに用いられる思考の整理法で、8つの要素からなるものです。
When:どのタイミングで実行するのか
Where:どの市場を狙うのか
Who:誰が行うのか
Whom:どの顧客を狙うのか
What:どんなサービスを提供するのか
Why:なぜ事業を行うのか
How:どのように実施するのか
How much:どのくらいの資金が必要なのか
自分の事業の構想をこのフレームワークに当てはめると、思考の整理が容易になるとともに、わかりやすく簡潔な事業計画書を書くことができるようになるでしょう。
また、事業計画書を作る上で注意しなければならないことをご紹介します。
- 要点を整理しておきましょう。要点が伝わりにくい文章は、それだけでだいぶ魅力を失ってしまいます。
- 内容は細かいところまで記載しましょう。大枠だけだと、相手側に杜撰な計画だと思われかねません。
- 図などを挿入して、見やすさを心がけましょう。読みにくい文章は、低評価につながってしまいます。
- 統一されたフォーマットで書きましょう。統一感のない文章は、雑と思われやすいので低評価につながりやすいです。
- 競合他社についての調査を必ず盛り込みましょう。自社のデータしか出さないと、独りよがり、収益を出せる確証がないと思われて、即不採用になってしまうこともあります。必ず競合他社のデータは盛り込みましょう。
- 競合の調査には必ず、数字に裏打ちされたデータを添えて提示しましょう。自分の勘、推測や憶測だけで語っても、信憑性は残念ながら生まれません。必ず既成のデータか、調査による数字を提示しましょう。
- 自分以外の人に見てもらい、フィードバックを受けましょう。自分では気づかない、論理の穴や情報の漏れなどを指摘してもらうことができます。
スタートアップのマーケティングの成功例をこちらに記載してありますので、ぜひ参考にしてみてください。
スタートアップにとって事業計画書を作るメリット
事業計画書を作ることには、大きく分けて3つのメリットがあります。
1つ目は、自ら事業を運営するときに必要な行動・計画を明確にし、見直すためです。
頭に浮かんだ考えやアイデアは、頭の中だけでは思っている以上に不確かな部分があります。
そのため、そもそもどのような事業で何がしたいのか、どういう方向をめざすのか、予算はどのくらいで、売上や利益はどのくらい見込めるのかといったことを、事業計画を書いてアウトプットすることで、自分の考えを客観的に可視化でき、課題や強みを明確化することができます。
つまり、事業計画を作成することで初めて自分の考えを自分自身で明確にすることができるのです。
課題や強みを可視化することで解決すべき課題の優先順位をつけることができたり、自社の強みを理解したりすることができ、意思決定の早い、効果的な経営戦略を実行することができるようになります。
2つ目の理由は、他人に計画を理解・納得してもらい、必要な支援を得るためです。
事業の立ち上げは決して自分一人で達成できるものではなく、多くの関係者のサポートが必要になります。
例えば、資金繰りには銀行や投資家からの融資・支援が不可欠です。事業立ち上げにはリスクを伴うため、銀行や投資家が、自分が出した資金が回収できるのかを検討するためにも事業計画の提出が必要になってきます。投資家に至っては、事業計画書がなければ根本的に出資の検討さえしてもらえません。
そのため、事業計画書を作成することで、金融機関や投資家に「その事業に将来性がある」や「財務的に問題がない」と示し、融資の実行につなげることが肝要なのです。
創業時は決算書や実績がなく、事業計画書によって事業の実現性、将来性を評価されるため計画書の作成は重要です。
また、会社にとっては事業計画書は、社員と共有するビジョンにもなります。
会社が掲げる目標に対して従業員が消極的な姿勢のままでは、目標を達成するのが難しいでしょう。
会社のビジョンが明確化されることで、全員が目指すべきことを理解し、協力しやすい環境ができます。
事業計画書の内容を固めることで、「何をいつまでにやるのか、計画を実現したら会社にとってどんなメリットがあるのか」が明白になります。
社員にこれを納得してもらうことで、全員が同じ方向を向くことができ、社員のモチベーション向上にもつながります。
実際に事業に携わる従業員のやる気や前向きなモチベーションを得られてこそ、目標に突き進むことができるというものです。
3つ目は、運営開始後に問題点を分析し、軌道修正するためです。
念入りに計画を立てても、実際に動き出したら事業が思うように進まないというケースは少なくありません。そのため、トラブルや不都合があったとき、問題点を客観的に分析し、修正するプロセスが必要になります。
事業計画書は、当初の計画のどこに不備があったのかを客観的に見直す時にも、非常に役に立つものなのです。事業計画書はいわば、成功までのレールを敷いているようなものと言えるでしょう。
伝わりやすい事業計画とは?
スタートアップにおいて、伝わる事業計画は書は、一言で言うとビジネスモデルが可視化され、検証と改善ができる計画であると言うことができます。これを確かめるために有効なのが、「リーンキャンバス」です。リーンキャンバスとは、ビジネスモデルを9つの要素に分類し、それぞれが相互にどのように関わっているのかを図示したものです。リーンキャンバスのメリットは、A4用紙1枚で視覚的にビジネスモデルを把握できることです。
リーンキャンバスを書く上で注意しなければいけないことは、現実感ある計画にするということです。起業家にとって、事業計画は投資家に見せる資料でもあるので、未来の数字を少しでもよく見せたいという心理が働き、現実感のない計画になりがちです。
しかし、このような事業計画を作ってしまうとあっという間に計画と現実が乖離していくので、現実の経営に全く役立ちません。そして、目標に到達できなかったという状態が続き、誰も事業計画を見なくなるという、本末転倒な状態になってしまいます。なので、将来的に長く事業の指針として活用できるよう、定期的に見直しバージョンアップを繰り返しながら、徐々に現実的に活用できる事業計画に仕上げて行く改善が必要です。
それを踏まえ、以下に各要素とその書き方をご紹介します。
参照元:https://notepm.jp/template/lean-canvas
【1】 顧客セグメント
「誰に価値を提供するのか」「最も重要な顧客は誰なのか」を記述します。
顧客をグループ化し、どのセグメントに関わるのか、あるいは関わらないのかを設定し、属性や利用目的などでセグメント分けをし、記入します。
【2】 課題(代替品)
顧客が抱えている課題のなかで最も重要なものを上位3位まで記述します。また、同時に既存の代替品(代替サービス)をピックアップしておくと、自社商品の独自性を打ち出していく際に比較・検討できるので便利です。
【3】 チャネル
特定の顧客セグメントに対して、「どのチャネルを通じてリーチするか」「どのように価値を提供するか」を記述します。つまり、顧客への価値提供の流れを記入します。
コミュニケーション、流通、販売チャネル、アフターフォローなど、商品やサービスの提供ルートや、プロモーションの手段を設定します。
【4】 独自の価値提案
自社のサービスや商品にしかない独自の価値、強みなどを記述します。他社のサービスより便利である、価格が安いなど、顧客が自社のサービスや商品のどういう点に満足してお金を払うのかをはっきりさせることで代替品との差別化を図ることができます。リーンキャンバスの中でも、最も重要かつ難しい要素なので、まだ起業していない、商品が未完成などの場合はとりあえずイメージだけを記入しておいても構いません。
【5】 ソリューション
顧客が抱えている課題のソリューション(解決策)の概略を記入します。【4】で記入した、自社のサービスや商品の価値や強みが顧客の課題をどう解決するのか、他社などの代替品と比較しながら書き出すと簡単に記入できます。
【6】 収益の流れ
事業をマネタイズするモデルや、サービスおよび商品の具体的な価格について書き出します。個別の商品・サービスなどの価格は代替品や市場の価格を参考に、自社の提供できる価値や作るための諸費用を勘案して考慮するといいでしょう。
【7】 主要指標
主要指標とは、事業モデルを成功させるため、その中間の過程で目標とする重要な指標のことです。これをKPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)といい、例えば物販であればエリアや店舗の売り上げ達成率、Webサービスであればサービスへの入会率や継続率などがあげられます。最終的な目標を達成するためには必要不可欠な指標なので、できるだけ具体的な数字を設定しましょう。
【8】 圧倒的な優位性
圧倒的な優位性とは、競合する他社が簡単には真似できない、ノウハウや人脈、事業に対する実績のことです。事業の最大のセールスポイントであり、事業を営む上で一番の武器になるので、具体的に考えましょう。例えば既存の顧客や独自に開発した新技術、専門知識や技術を持ったチームメンバーなどがあげられます。もし競合他社に対する圧倒的な優位性がない場合は、どうすれば優位性を獲得できるのか考えてみる必要があります。
【9】 コスト構造
ビジネスモデルを運営するにあたり発生するコストを記述します。
定期的・継続的にかかる固定費と、タイミングによって流動的にかかる変動費を分けて記入すると思考の整理が容易になります。このコスト次第で、主な活動やリソースの見直しを図り、変更することもあります。
この9つの要素に関して、リーンキャンバス上では、商品の価値である、「顧客に提供する価値」である「価値提案」を中心に、左側には自社のコスト、右側には顧客や収入の流れの左右に分けて記入します。
共感を得やすい事業計画書の特徴
ここからは、スタートアップが投資検討を受ける際に、VC(ベンチャーキャピタル)などから理解を得やすいよう、抑えておくべきポイントをご紹介します。具体的な成果が少なく、初期段階での資金調達が肝要なスタートアップにおいて、VCから共感を得ることはとても重要なので、このポイントを意識して計画を立てることをお勧めします。
簡潔、明確
これは言うまでもなく、文章を書く時に重要な要素です。事業計画書は文学ではないので、飾った表現などは不要です。平易な言葉で、論理的に、簡潔・明確に自分の思いとメッセージを伝えることを心がけましょう。
数字で裏付け
いくらかっこいいことを言っていても、独りよがりな目標や、数字に裏打ちされた検証・分析がなければ採用してもらうことは難しくなってしまいます。しっかりと数字に裏打ちされたデータを提出するようにしましょう。
事実とテスト検証(ファクトベース)
事業計画書に論理性は必要ですが、それがすべてではありません。事業計画書は、未来志向の内容になりがちですが、きちんと事実を記載しておくこともとても大切な要素です。また、事業計画にはロジックだけを書くのではなく、テスト検証の結果も盛り込んでおきましょう。
テンプレート一覧
色々な団体や組織が、テンプレートを配布してくれています。どれも無料でダウンロードできるものなので、使用してみてはいかがでしょうか。
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株式会社日本政策金融公庫
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V-Spirits
スタートアップ・ベンチャー創業者向けのテンプレートを用意してくれています。ビジョンに重きを置いたもので、VCなどにアピールしやすい構成となっています。
【主な特徴】
・簡潔で見やすいテンプレート
・創業者の想いが伝わりやすい
bizocean
多くのテンプレートを用意しています。飲食業限定のもの、EC事業のためのもの、簡易版など、用途に合わせたものを選ぶことができます。
【主な特徴】
・ダウンロードできる種類が多い
・事業計画書に限らず色々な用途のテンプレートがある
終わりに
事業計画書は、事業を始動させる・投資や融資をしてもらう上でとても大切なものと言えます。審査結果を大きく左右するものなので、強みを客観的な数字でアピールできるよう、正確な分析を心がけ、熱意が伝わるように作成しましょう。
良い事業計画書を作った後は、それを利用してVCにアプローチすることが、企業のスケールにつながります。国内のVC一覧をこちらに記載しているので、ぜひご利用ください。
OPEN VENTURESの主催するOPEN PITCHでは、時期を問わず事業のフィードバックと出資検討の両方を受けることができます。
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