【徹底分析】カーボンニュートラルとは?背景解説と今後の動向予想

【徹底分析】カーボンニュートラルとは?背景解説と今後の動向予想

2015年、パリで開かれた国連気候変動枠組条約締約国会議 (COP)では、気候変動に歯止めをかけるべく、世界の温室効果ガスの削減を目指した国際的な取り決めが結ばれた。

日本では、2020年10月に菅元首相が「2050年カーボンニュートラル宣言」として、2050年までに日本国内の二酸化炭素排出量を「実質0」にする方針を発表した。それを受けて、政府や企業も2050年カーボンニュートラルに向けた目標を発表している。

カーボンニュートラルに関するインターネットの検索回数は、2019年9月に比べ、1年後の2021年9月までに大幅に増加しており、その関心の高さが伺える。「2050年カーボンニュートラル」の達成に向けて、カーボンニュートラルに関する事業は今後更なる拡大が見込まれる。

「Google Trends」で「カーボンニュートラル」キーワードの人気度の動向を比較
期間: 2019年9月〜2021年9月

その一方で、コスト・技術面の難しさ、そして将来性の不透明性が原因で、実際に民間が活動をしていく事は困難である。そんな中、この困難をビジネスチャンスと捉えて、日本を始め、ヨーロッパやアメリカなどでは、これらの課題に立ち向かうスタートアップが登場している。

本稿ではまず、カーボンニュートラルについて、具体的にどのような変革が求められるのか、そして国や日本国内の企業はどのように参加し、環境保全に貢献しているのかについて述べる。
そして、カーボンニュートラルの実現に向けて効果的だと考えられる再生可能エネルギーに着目し、太陽光、洋上風力、水素、地熱、バイオマスの5分野を詳しく解説する。
最後に、カーボンニュートラルという世界的な潮流の中で再生可能エネルギーの利活用というアプローチを提示し、急成長している世界のスタートアップ達をご紹介したい。

今後、日本を始め、世界各国が2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて変革期を迎えるにあたり、このレポートでは包括的にカーボンニュートラルについて知る事のできる内容になってる。環境問題やカーボンニュートラルに興味のある方々や、この分野でのビジネスに挑戦される起業家に是非一読していただきたい。

カーボンニュートラルとは?

この章ではカーボンニュートラルの定義や概要について、その背景を考察しながら、今までの歩みを解説する。

カーボンニュートラルの定義

カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出量の削減を前提にしたもので、日本語では「炭素中立」​​​​​​とも言われる。具体的には、削減しきれなかった温室効果ガスを、森林などによる吸収量や除去量から差し引き、実質的にゼロにすることを示す。

パリ協定とカーボンニュートラル

2015年にCOP21にて、温室効果ガスの排出量を減らすためにパリ協定が採択された。

パリ協定の目的は「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」事である。また「できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と吸収量のバランスをとること」を目標としている。

パリ協定実現のためにも、カーボンニュートラルを通して、CO2などの温室効果ガスを削減していくことは今後の世界の重要課題となる。

日本と世界のカーボンニュートラルへの参加

日本では、2020年の10月に菅元首相が「2050年カーボンニュートラル宣言」の中で、2050年までに温室効果ガスの排出量を「全体として0」にすると発表した。目標を達成するために、国内では特に、エネルギー分野への投資が進められている。

2021年現在、世界の124カ国と1つの地域が、2050年までのカーボンニュートラル実現への意思を表明している。さらに2060年までには、世界の2/3の地域がカーボンニュートラルの実現を目指している。

国や企業のカーボンニュートラルへの取り組み

この章では日本国内で、カーボンニュートラルに向けた活動が盛んになっている今、行政や企業、そして私たちが社会の一員として、どのように活動に関われるのかをご紹介する。

国の取り組み:グリーン成長戦略

2020年菅内閣の「2050年カーボンニュートラル宣言」以降、経済産業省は「グリーン成長戦略」を制定した。グリーン成長戦略とは、政府が積極的に「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策の事である。

政府は、2050年のカーボンニュートラル実現のために、企業の技術開発や設備投資を2兆円の規模で支援する事を発表した。この基金はグリーンイノベーション基金と呼ばれており、特にカーボンニュートラル社会に必要不可欠で、産業の基盤となる以下の3分野に資金を集中させる。

電力グリーン化
熱・電力分野の水素化
CO2再利用

これらの3分野は全てエネルギーに関連する事業であるのが特徴だ。

日本では「3E+S」と呼ばれる基本方針がエネルギー政策の基盤になっている。「3E+S」とは、安全性(Safety)を前提とし、自給率(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)の達成を目指したエネルギー供給構造である。

国内企業の取り組み

カーボンニュートラルの実現に向けて、国内民間企業の活動も著しい。特に、CO2の排出量に気を配った「脱炭素経営」への企業の関心は世界トップクラスの評価を受けている。

2021年、環境省は気候変動に応じて、企業の環境への取り組み、経営戦略の開示 (TCFD) 、そして脱炭素に向けた目標設定 (SBT、 RE100)への参加企業リストを発表した。

TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures):経営の中で気候変動への配慮の情報公開を促すもの。日本では670の機関(金融機関、企業、政府を含む)が参加を表明しており、これは世界第1位の機関数である。

SBT (Science Based Targets):企業に温室効果ガスの排出量を化学的根拠に基づいて削減することを求めるもの。日本は148の企業が認定を受けており、これは世界第3位、アジア第1位である。

RE100 (Renewable Energy 100):企業活動のために必要な電力を100%再生可能エネルギーで調達するもの。日本は63社が参加しており、これは世界第2位、アジア第1位である。

参加企業一覧

環境省が発表したTCFD、SBT、RE100の全てに取り組んでいる企業一覧では、電気機器や建設関係の企業が上位に食い込んだ 。 その他、合計で11分野41の日本企業が取り組みに参加している。

以下、カーボンニュートラルへの取り組みで上位にランクインした電気機器と建設の業界から2つの会社の事例をご紹介する。

1.ソニー株式会社


画像:https://www.sony.com/ja/brand/motionlogo/

ソニー株式会社の取り組みは顕著で、社内の品質・環境部を中心にカーボンニュートラルに関する指針を発表している。
2018年にRE100に加盟して以来、世界4地域8つの国にまたがる生産拠点からの二酸化炭素排出量を削減するために、再生可能エネルギーの導入を促進している。

より具体的には、2040年までに全世界に広がるソニーグループの使用電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指している。
これを達成するために、ソニーグループは自社で太陽光を導入したり、電力会社から直接再生可能エネルギーを購入し、CO2の排出量を大幅に削減している。

2.積水ハウス株式会社


画像:https://www.sekisuihouse.co.jp

積水ハウスグループの温暖化防止研究所では、自社の技術を生かして、ゼロエミッションハウスを構想している。日本の住宅部門は、国内のCO2排出量の比率で2位に食い込むため、2050年までに一般家庭から排出されるCO2の量を限りなくゼロに近づけることを目標に、様々な技術を導入している。

例えば、太陽電池の設置、冷暖房の負担軽減のための断熱材、電力負担軽減のためのLED照明などを駆使し、従来のようにエネルギーを消費する家庭から、エネルギーを作り出せる家庭への変革を目指している。

 国内大企業のオープンイノベーション

オープンイノベーションとは、自社以外の組織が保有する技術や情報を用いて、技術革新や経営の改善を目指すことである。日本でのカーボンニュートラル実現のためには、国内大企業とスタートアップのオープンイノベーションによる協力が欠かせない。

しかし、現状では大学や研究機関との連携に留まっており、日本のスタートアップとの連携による成功事例はあまり目立っていない。さらに、米国や英国などに比べると国内スタートアップのカーボンニュートラルへの介入が少ないのが現状だ。

米国Cleantech Groupは、世界中で今後、CO2削減に向けた革新的な技術開発に貢献するであろう100社を撰定した「Globa Cleantech 100」を発表している。選出された会社は、北米62社、欧州33社、アジア5社という結果になったが、日本の企業の名前は見られなかった。

しかし、カーボンニュートラルが現在の日本企業にとって注目分野であることは間違いない。JETROが海外での協業・連携を支援する日本企業を対象にした関心分野に関する調査でも、38.3%と最も多い比率を集めたのが「カーボンニュートラル」だった。企業の関心を具現化するために、現在、日本の大企業は海外スタートアップと連携し、オープンイノベーションを目指している。

・【事例】東京ガス株式会社


画像:https://www.tokyo-gas.co.jphttps://octopus.energy

2020年12月に、東京ガス株式会社は英国のオクトパスエナジー社と戦略的提携に合意した。オクトパスエナジー社は再生可能エネルギー100%を目指し、顧客のニーズに合わせた電気利用プランをIT技術により見つけ出すことで、新しい顧客獲得に成功した会社である。東京ガス株式会社はこの提携により、日本国内で再生可能エネルギーを用いた、安価な電気サービスの普及の実現を目指している。

しかし、日本企業と海外スタートアップの連携は日本の企業同士の連携に比べ、ハードルが高く、日本のスタートアップの活躍が期待されている。これは、海外企業が日本企業とのコミュニケーションや、日本企業の意思決定の遅さに慣れていない事が原因だ。

そのため、日本国内からカーボンニュートラルの分野でスタートアップを目指し、国内大企業のステークホルダーとなることには大きなチャンスが期待されるだろう。

カーボンニュートラルと再生可能エネルギー

再生可能エネルギーなしにカーボンニュートラル実現は不可能だとも言われている。そんな再生可能エネルギーの種類や、技術、課題などについて以下で詳しくご紹介する。

再生可能エネルギーとは

2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには、国内の温室効果ガスの排出割合が80%にものぼるエネルギー分野の革新が不可欠である。

CO2の排出量を抑えるためには、再生可能エネルギーの積極的な導入が有効だと考えられている。再生可能エネルギーとは、自然界に存在するエネルギーのことで、環境性、安全性、経済性で高い評価を受けている。また、枯渇問題や場所の限定、CO2の過度な排出の心配がない事が特徴だ。

特に日本で注目を集めている再生可能エネルギーは次の通りである。

・太陽光発電
・洋上風力発電
・水素エネルギー
・地熱発電
・バイオマス

それぞれ、カーボンニュートラルへの効果が期待されている一方で、多くの課題が残るのも事実である。
しかし、世界の再生可能エネルギーの市場で、大規模な経済的インパクトが期待されていることは間違いない。米国の調査会社PichBookによると、再生可能エネルギーの世界の市場規模は2020年以降、年間約9.5%で成長し、2025年には400兆円にのぼると予想されている。

再生可能エネルギーの種類

ここでは、日本国内で徐々に導入が拡大されている、5つの再生可能エネルギーの特徴と課題についてご紹介する。

【太陽光発電】

太陽光発電は、電力供給源である太陽の低い枯渇リスクと、比較的設置がしやすいとの理由で、再生可能エネルギーの主力になっている。日本の太陽光発電導入量は中国・アメリカに続き世界第3位を誇る。

日本での市場拡大の背景には、2012年の「FIT制度」(固定価格買取制度) の導入がある。FIT制度とは、電力事業者に太陽光発電の余剰電力を固定価格で買い取ることを義務化したものだ。2022年4月には新たに「FIP制度」(フィードインプレミアム制度)が導入される。

FIP制度は、FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再生可能エネルギーの販売者に、売電価格のみならず、プレミアと呼ばれる補助金を上乗せすることで、再生可能エネルギーの導入を促進するものである。このような変化に伴い今後は、グリーンイノベーション基金などを最大限に活用して、軽量で安価な太陽電池であるペロブスカイトの開発が加速する予想だ。


画像:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html

【洋上風力発電】

洋上風力発電は、海洋上に風力発電の施設を作ったもので、風を遮るものが少ない分、安定的に電力を確保できる。また、騒音問題などの人的被害も少なく、設置場所の確保が比較的容易であるのが特徴だ。

洋上風力発電は、イギリスを先駆けにヨーロッパの国々で導入が進められており、エネルギー産業では太陽光に次ぐ拡大を見せている。

島国である日本は洋上風力発電の設置場所には困らないものの、2020年までに28機しか導入が進んでおらず、風力発電全体の1.3%のみにとどまっている。今後、建設の促進のために、海洋の地盤の安定化や送電方法にまつわる技術開発が必要になると予想される。

【水素エネルギー】

水素エネルギーはCO2を排出せず、水や石油・石炭といった化石燃料など、様々なものから生み出せることが特徴だ

また、他の発電方法で作られたエネルギーを水素として貯蔵することも可能なため、太陽光や風力など、天候に左右されやすい再生可能エネルギーと併用する事ができるのも大きな魅力だ。

また、水素エネルギーは輸送分野(自動車、船舶、航空機)のみならず、発電や製鉄・化学産業まで幅広く利用が可能である。しかし、水素の製造技術に膨大な予算がかかる事が問題視されている。そのため、世界の国々では、水素を製造する際に用いる水電解装置の安価な開発に力を入れており、日本も今後、技術面での進歩が求められる。

画像:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/yojohuryokuhatuden.html

【地熱発電】

地熱発電はCO2を排出しないのはもちろん、地球の内部に眠る熱を利用するため、季節や天候に左右される事なく一年中安定的に電力が得られる。また、燃料を必要としないため、発電の際のコストを太陽光発電の約1/3に抑える事ができる。

日本は活火山が多く、地熱資源が世界3位と言われているため、地熱発電への期待が高まっている。しかし、稼働前の調査やプラント建設など、実際に稼働するまでのリスクとコストが多くかかることが問題視されている


画像:https://geothermal.jogmec.go.jp/information/geothermal/mechanism/mechanism2.html

【バイオマス】

バイオマスとは、動植物などから作り出される有機資源の総称のことで、燃焼やガス化によって電力が得られるのが特徴である。バイオマス発電はCO2を排出しない上に、生ゴミや家畜排泄物など、廃棄される自然の物質をエネルギー源として使用する為、無駄なくエネルギーを活用する事ができる。

世界では、中国がバイオマスエネルギーの分野で台頭してきており、特に航空機の燃料利用への期待が高まっている。一方、日本国内では、バイオマス発電に必要な資源をどのように効率よく収集・運搬・管理をするか、コスト面と合わせて改善が必要だとの指摘が多くみられる。

世界と日本のスタートアップ例

日本国内外でスタートアップの関心がカーボンニュートラルに向く中、世界各地で成功を収め、今後のロールモデルになっていくであろうスタートアップ企業の一部を以下に掲載する。

スタートアップ成功例

カーボンニュートラル達成への意識が世界中で高まる中、スタートアップの勢いは特に西欧諸国で上昇傾向にある。ここでは、再生可能エネルギーの面からスタートアップに挑戦している会社を、アメリカ・イギリス・ドイツ・日本の地域ごとに全部で6社紹介する。

【アメリカ】

モノリス社

画像:https://monolith-corp.com/

モノリス社は2012年に米カリフォルニア州で設立され、現在はネブラスカに拠点を置く会社である。同社は、天然ガスを原料に、水素やカーボンブラックと呼ばれる炭素主体の微粒子を作り出す技術を提供している。

モノリス社は「プラズマ熱分解」という革新的技術を保有している。この技術により、天然ガスに多く含まれるメタンを熱分解する過程で、二酸化炭素を排出せずにクリーンな水素を作り出したり、利用価値の高い個体炭素を作り出すことが可能になっている。

日本の三菱重工業は、2020年の12月にモノリス社へのマイナー投資を決意した。これにより、三菱重工業も水素製造の技術を保有し、水素関連の事業の拡大を目指している。


【イギリス】

パワーボルト社

画像:https://www.powervault.co.uk

イギリス、ロンドン発祥のスタートアップ。日中のエネルギー貯蔵システムにより、エネルギーを経済的にも環境的にも負担がかからない方法で企業や家庭に提供するビジネスモデルを展開している。

電力源は太陽光発電を採用し、日中に発電した電力を貯蔵し、使用量と価格が共にピークに達する夕方の時間帯に放出することで、消費者の出費を50%程度に抑えることを目標にしている。


【ドイツ】

Klima

画像:https://klima.com

ドイツのベルリンに、2019年にアプリ開発のスタートアップとして誕生。消費者に向けて、カーボンニュートラルを達成することを支援し促進するアプリを自社開発している。

アプリ内では、個人のCO2排出量を計算したり、CO2の排出をなるべく抑えた生活方法などを紹介している。また、利用者は課金をすることで、植林などの活動に間接的に携わることができ、排出したCO2を減らすことに貢献したり、カーボンニュートラルの実現を目指すことが可能である。


【日本】

株式会社エネファント

画像:https://enephant.co.jp

株式会社エネファントは、岐阜県多治見市を拠点とする再生可能エネルギーの販売・施工、小売電力事業、EVレンタカー事業を手掛けるスタートアップ企業である。

同社は、多治見市の地域外に流出しているエネルギー代金を地域内に循環させると同時に、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入促進を進めている。また、太陽光により作られる電力をEV(電気自動車)に貯めておき、車を多治見市の地元の会社に勤める人々に貸し出すことで、エコな循環を可能にしている。

なお、株式会社エネファントは021年2月に環境省が発表した「環境スタートアップ大賞」のファイナリストにも選ばれており、今後の成長が期待されている。

株式会社VPP JAPAN

画像:https://www.vppjapan.co.jp

株式会社VPP JAPANは東京に本社を構え、「オフグリッド電力会社」として、建物の屋根の空いている場所に太陽光発電を設置し、再生可能エネルギーの普及を目指したビジネスを展開している。

同社は従来の電力会社の送電網に頼らず、建物の屋根に取り付けられた太陽光発電から直接建物に電力を供給することで、発電した分の自然エネルギーの自家消費を100%可能にしている。また、将来的には蓄電池をネットワーク化し、仮想発電所(VPP)の構想を検討している。

Looop

画像:https://looop.co.jp

東日本大震災後に、ソーラー発電の無償設置を行ったノウハウを生かし、2011年に、再生可能エネルギーを中心にした電力小売サービスを展開開始。

同社は、再生可能エネルギーの設置、貯蔵、供給を一貫して行う新しいビジネスモデルを採用している。また、再生可能エネルギーの弱点を補強するために、建物の屋根を活用した発電を普及させたり、蓄電池の開発にも力を入れている。

また、個人が自然エネルギーに移行する際の初期費用を抑えるために、近隣の商業施設などの、第三者が太陽光発電を保有するシステムも導入している。これにより、自然エネルギーの地産地消が可能になり、エネルギーの配送電を省略することも可能になった。

本記事のまとめ

2015年のパリ協定、2020年菅内閣の「2050カーボンニュートラル宣言」以降、カーボンニュートラルに向けた経済活動が国内外の民間企業で活発化している。

再生可能エネルギーがカーボンニュートラル実現の鍵を握ると言われているが、実際にスタートアップをしている日本企業の数は少ない。しかし、多くの国内大企業は自社のカーボンニュートラルに向けて、技術を保有するスタートアップとの協働を望んでいる。

したがって今後もカーボンニュートラルの分野は、大きなビジネスチャンスが生まれると予想される。この領域で正しく変化を捉えチャレンジをするスタートアップには、国内外の企業からの多くの関心が集まることだろう。

 

OPEN VENTURES では、この大きな変化に挑戦するスタートアップを積極的に支援したいと考えています。
事業の壁打ち資金調達に関するご相談などあれば、お気軽にお問い合わせください。
▼問い合わせ先
https://open-ventures.fund/contact/

 

【参考文献】

1)アスエネメディア, 「今後どうなる?バイオマス発電の3つの課題と展望を紹介」, 2020-08

2)アスエネメディア, 「目標は10年で170倍!?日本の洋上風力の現状と未来」, 2021-08

3)伊尾木 智子, 「カーボンニュートラルに挑むスタートアップのいま(世界)」 , ビジネス+IT, 2020-11

4)石田 健一, 積水ハウスの低炭素化に向けた取組, 積水ハウス株式会社 温暖化防止研究所, n.d.

5)伊藤 祐、黒崎 花子, 洋上風力発電とは何か?どんな仕組みでどんなメリットがあるのか?2017-9

6)環境省, 「統合版脱炭素経営の状況」, 2021-12

7)経済産業省 資源エネルギー庁, 再生可能エネルギーとは, n.d

8)経済産業省, 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成戦略, 2020-12

9)公益財団法人 自然エネルギー財団, 2050年カーボンニュートラルへの提案-自然エネルギー100%の将来像, 2020-12

10)ソニー株式会社 品質・環境部 環境グループ,ソニー環境計画 Road to Zero -2050年までに環境負担ゼロを目指して, 2019-02

11)東京ガス株式会社, 英国オクトパスエナジー社との連携について,2020-12

12)日本貿易振興機構(ジェトロ), 脱炭素技術をめぐる北米の動向調査, 2021-05

13) Cleantech Group, GLOBAL CLEANTECH 100 From Chaos to Transformation: The Companies and Themes Delivering Sustainable Innovation, 2021-01

14) United Nations, What is net zero and why is it important?, 2020-12