SenseTimeー研究室から一躍有名となったAIユニコーン企業ー
SenseTimeー研究室から一躍有名となったAIユニコーン企業ー
本記事はIDGCapitalという中国のベンチャーキャピタルの記事「商汤科技:从实验室里一跃而出的全球 AI 独角兽」を翻訳したものです。
CB Insights が出した2019年度のAI 100報告では、最も先の見通しが良いAIのスタートアップのリストに、Sense Timeが「世界のAIユニコーン企業ランキング1位」として名を連ねた。この栄誉の裏には汤晓鸥、徐立らの燃え盛る野心があった。
90年代、中国の若者、汤晓鸥はアメリカで初めて人々に認知された。1990年に、彼は中科大学を卒業した後、アメリカでの開発、そして一年後マサチューセッツ工科大学で学位を取得、1992年にCV研究の最高峰であるMITで博士課程を履修し五年もの間時間を費やした。
汤晓鸥は始めてMITに入ったときのことを以下のように語る。「私が実験室に入ったときに彼らと作っていたのは、海底ロボットでした。海底の音を拾ったり、写真を撮影し、海底の世界を探索するものでしたが、私がその実験室に入りたてのときは、ちょうど彼らがタイタニック号を発見した時期だったので、これは凄いと思っていました」
90年代はちょうど、顔認識システム研究の勃興期で、アメリカの国防庁の下部組織である高等研究計画局ARPAではFERET(Face Recognition Technology)に関しての取り組みを追加し、そのミッションには顔認識システム研究の支援、FERET顔写真ビッグデータを創設し、FERET顔識別システム性能の評価基準も設定した。
この取り組みは1994年、1995年及び1996年に三段階の顔識別のアルゴリズムの評価テストを設けた。幾つかの最も有名な顔認識システムの識別のアルゴリズムがこの評価テストを受け、その改革と実用化を大いに促進した。
実験室からSense Timeへ
博士課程を卒業した後、汤晓鸥は香港中文大学通信課程の教授に任命され、引き続きコンピュータ視覚システムの領域に従事し、人材を多く輩出した。汤晓鸥は2001年7月に香港中文大学多媒体実験室を設立し、それより、香港中文大学はCV界で多大なる栄誉を得た。
2005年より、汤晓鸥氏は同時にMSRA(マイクロソフトリサーチアジア研究院)ビジュアルコンピューティングの責任者に同時任命された。彼は北京と香港の両方で仕事し、2歳になる彼の息子は彼にとって最も大事なものであった。彼の息子への愛情を表現し、常にまだ小さい子どもと共に行動できない不安を解消するために、息子の写真を頻繁に撮り始めた。アルバムには息子の成長の全ての瞬間がおさめられた。
そのうち写真が何千も何万枚も累積され、彼はそれを分類するのが難題であると気づいた。大量の写真の中からその時に見たいと思った特定の時間や瞬間を切り取った写真を見つけるのが大変難しかった。そして、CV技術がまだ現在のように発達していなかった頃、彼はPhoto Taggingという課題を学生に与え研究を試みた。その試みとは、CV技術を使ってアルバムを分類整理するというものだった。
これは汤晓鸥が顔識別システムを実際に応用する始まりとなった。「顔識別システムのような人工知能の技術を用いて皆さんのアルバムを整理、管理することができます」彼は語った。
2009年、汤晓鸥はマイクロソフトの引き止めを断り、中国科学院深圳先進技術研究院との連合研究室を設立することを持ちかけた。この一年間は彼のキャリアのピークとなり、電気・情報工学分野学会(IEEE)からの学士院メンバーとしての推薦を獲得した。
同年、教授と博士課程履修中の学生何恺明、そしてマイクロソフトリサーチアジア研究院の孙剑博士は評論文「基于暗原色的单一图像去雾技术(暗い原色を基調とした単色の画像から画像の曇りをとる技術)」は先端国際会議IEEEコンピュータ視覚・モデル識別大会(CVPR)当年度の最優秀論文賞を受賞した。当会議創立25年間、アジアの学者がこのような最上の賞を取るのは初めてのことであった。
そして、2010年、汤晓鸥はその後の最重要人物のビジネスパートナーに出会った。それは彼の教え子の徐立であった。
徐立は上海人で、小さいころから大変優秀で、小中高の12年間で何度も学校を代表して上海市の中小数学オリンピックに出場し、幾度も金賞を受賞した。これらの業績を鑑みて、2000年18歳の頃に彼は上海交通大学のコンピュータ科に推薦で入学した。四年後彼は再び推薦を受けて研究生となった。
2007年修士過程卒業後、徐立はMotorola,Inc.やオムロン株式会社、マイクロソフト研究院等の機構で働き、コンピュータ視覚、パターン識別、画像処理領域のの商品開発に携わった。しかし、徐立は満足しなかった。なぜなら2007年の後にビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能は正に高速に発展した。徐立ははっきりと、「そのうち深層学習の方向に向かうだろう、顔識別システムはまだまだ発展の可能性がある」と語った。
徐立の心は、ちょうどCV界で多大なる名誉を得た香港中文大学の多媒体実験室であった。すると、2010年の秋に徐立は一切を放棄し仕事に打ち込み、ただ一人香港中文大学に向かい、更なる研究をつづけた。これより、徐立は顔識別システムに命をかけ、そうしていくうちに汤晓鸥に出会い意気投合した。
汤晓鸥などの教授の熱心な指導の下、徐立は画像識別方面での専門技術の能力の進歩はとても早かった。そのうちの三つのアルゴリズムは視覚オープンソースのプラットフォームであるOpenCVに採用された。LOSmoothingはグラフィックスに関してTOGの五年論文を引用し始めた。(2011年~2015年)。
これより、香港中文大学の多媒体実験室は同時に”収穫期”を迎えた。2011年度より実験室の何十名もの博士や教師達が深層学習の研究を始めた。2011~2013年の間、実験室はコンピュータ視覚領域の二大会議であるICCVとCVPRにおいて、14編もの深層学習に関する論文を発表し、この会議で発表された深層学習の総論分数(29編)の約半分を占めた。
これらの研究成果はまだ実験室外において使われることはなかったが。しかし、とある出来事をきっかけに、汤晓鸥は自らのチームに大いなる自信を持つようになった。それは、スピード違反で逃走した車があったが、その車を捉えた監視カメラの映像はぼやけていたことがきっかけだった。警察は、彼らに逃げた車両の画像を復元して、消息を追いたいとの要求をした。しかも警察からの依頼には報酬が出たのだった。このような実生活における実践はチームに大いなる達成感を与えることとなった。
2014年、人工知能は学会に新たな技術革命をもたらすものとして認められ、国際科学技術の巨匠である、マイクロソフトやグーグル、facebookなどはこぞって戦局に入った。グーグルは4億円をはたいて社員わずか12名のみのDeepMindを買収した。しかも、この会社は目に見える製品を生産しているのではなく、深層学習のゲームにのみフォーカスして研究してい会社であった。
2014年の始め、facebookは750万人のビッグデータを用いてコンピュータにテストを行った結果、その顔認識システムの正確さは人間の眼力にたいそう近いことを対外的に宣伝した。
「負けることは許されない、勝つだけだ。facebookはオープンソースだ。彼らに勝てなければユーザーを説得してオープンソースであるfacebookではなく、私達を選んでもらうことは出来ないであろう。」彼らの戦いはもはや背水の陣だった。「ハードウェアでもデータベースでも勝てないのなら、アルゴリズムで勝負しよう。」ハードウェアもデータベースもFacebookに敵わない状況下で、汤晓鸥はアルゴリズムを変えた。
二か月経たない内に、2014年3月、汤晓鸥のチームはGaussian Face 顔認識アルゴリズムを発表した。LFWデータベース内で98.52%の正確率に達し、全世界で初めて人の眼の識別能力を突破した。
2014年6月から、DeepID系列のアルゴリズムを発表し、漸次的に顔識別の正確率を99.55%まで上げることが出来た。
その当時、汤晓鸥実験室の三つの顔認識アルゴリズムがLFW識別率ランキングの3位までを独占し、FacebookのDeepFaceはそれに次ぐ4位だった。
香港中文大学多媒体研究室はマサチューセッツ工科大学、スタンフォード等の著名の大学が一同、世界の十大人工知能先端実験室に選ばれた。
2014年9月、汤晓鸥のチームは「人工知能のオリンピック」と言われるImageNet大会に参加した。百度、google、マイクロソフトを含む37もの世界の頂点を占めるグループが競争し、彼のチームは全世界で二位の成績を叩きだした。一位はgoogleであった。しかし、教授は「本当は大会内で、私達はグーグルと同等レベルであったはずだが、(相手がグーグルであるから)悔しくも二位の成績に落ち着いたのだろう。」
コンピュータの識別の正確率は世界で初めて人の眼のそれを超し、汤晓鸥のチームの名は瞬く間に世に広まり、IDG資本のパートナーである牛奎光もその名を慕い、やってきたのだ。牛奎光はこの流れを重要なシグナルであると考えた。コンピュータ視覚技術が商業化するに至るのではないかという前兆であると。彼は即座に香港に飛び、汤教授を訪れた。
香港中文大学の多媒体研究室で、彼は五つ、六つものコンピュータ識別技術のプロトタイプを見た。それらは実際に技術が生活の中で応用される為の研究であることを確認した。例えば、プロトタイプのうちの一つには、画像を印象派画家の作品のような画風に変化させるものがあり、それは現在流行りである画像美化機能のひとつである。また、研究チームは繰り返し彼らのスタートをこう強調した。「私達はシンプルなアルゴリズムから這い上がって来たのです。」
牛奎光に本当に投資を決心させたのは「猫脳、サル脳理論」であった。
徐立はこう説明した。人工知能技術のレベルが「猫脳」の段階にあるのだとすれば、大体の会社がやっているのは「いかにこの猫脳を応用してよりうまくネズミを捉えるか」ということだが、私達のチームはそうではなくツール自体を改良し続け、「猫脳」を「サル脳」まで鍛錬し、本質である「大脳」自体の能力を引き上げているのだ。大脳のレベルが上がった後、機械はより早く、更に複雑な技術を習得することが出来るからである。
この訪問の後、IDGは数千万ドルの出資をし、研究チームが「実験室の外」に活躍の場を広げる後押しをした。2014年10月、Sense Timeは正式に設立された。しかし、2014年におけるAI産業はまだ流行りの分野ではなく、商業価値のある技術として市場で戦えるか誰にも予測できなかったので、IDGキャピタルはその時大きなリスクを負っていたといえるだろう。
汤晓鸥が会社を設立すると聞き、実験室から50名余りの、博士号や博士号取得後も研究に勤しむ学生が駆けつけた。かつてマイクロソフト研究院で共に仕事をした杨帆も、清華大学の学生をひきつれ、創業メンバーとして加わった。こうして、汤晓鸥教授を中心として、創業メンバーはすぐに集まった。
徐立,香港中文大学博士,合同創業者&CEO;徐冰,香港中文大学博士,合同創業者&副代表;杨帆,清華大学修士,合同創業者&副代表;徐持衡,清華大学,合同創業者&CTO;林达华,マサチューセッツ工科大学院,合同創業者&香港中文大学商汤連合実験室主任。
顔識別に限らず
Sense Timeの創業から、汤晓鸥は彼の顔識別技術に大変な自信を持っていた。はじめに、小米、Huawei、美图秀秀、FaceU、Snow などを顧客として取り入れた。Sense Timeは、ToB事業に主に従事していた性質上、あまり表舞台には姿を表すことなく、人々からの認識も薄かったが、彼らは実質、間接的に既に数億もの人々にサービスを提供していた。
融360は2015年5月にセンスタイムとコラボし、「天机」という名のリスク管理システムをリリースした。これはユーザーID認証、返済意欲の有無、返済能力から個々人の「クレジット」を評価し、そのスコアをもとに金融機関に貸与に関する意見書(その個人にお金を貸すべきか否かの評価書)を提出するものだ。
2015年8月に小米がリリースしたMIUI7というオペレーティングシステム内の「ベビーフォトアルバム」は正に手を組んでいたセンスタイムとコラボして打ち出した新たなセールスポイントだ。「ベビーフォトアルバムで使用している顔認識システムは、主に三つのコアアルゴリズムに基づいていた。一つは、画像データの中から同じ顔を検知する、もう一つはその顔の特徴を識別すること、最後は、類似する顔を集めることである、と。汤晓鸥は長年抱いてきた宿願を果たしたのである。
中国移動通信社もまた、2015年に全面的に実名認証の施策を始めた。主に、身分証のOCR(文字認識)識別及び、顔の識別技術の二大技術が実現した。中国移動通信社の二つの公開入札で、Sense Time は数十もの入札会社を差し置いて勝った。
SenseTime のビジネスチームは始め、四、五人程度で顧客からのお問い合わせ対応を行っていたが、2015年末になってやっと業界の顧客開発を行いだすようになった。
ただし、SenseTime の目標はただの顔認識システムの会社としての活躍でなく、ディープラーニングプラットフォームを構築し、「オールラウンドプレーヤ―」として活躍することを目指していた。徐立は毎回、「私達は中国で独自の技術を備えた人工知能プラットフォームの会社であり、顔認識技術に特化した企業ではありません」と聞かれるたびに説明をいとわなかった。
2014年~2016年のSensetimeが主に注力したのは、第一に、人材の独占で、徐立はこの領域で見つけられるだけの最優秀の研究者たちを集め、150名以上もの深層学習分野の研究を行う博士を独占した。第二に、ハードウェアのコンピュータプラットフォームの構築であった。NIVIDAから6000ものGPUを買い入れ、スーパーコンピューティングセンターを自ら立ち上げた。
深層学習には三つのコア要素があった。一つは、深層学習設計、第二に高性能のコンピューティングプラットフォーム、第三にビッグデータであった。そのうち、ビッグデータはサービスを提供している顧客が既に数億に達しているSensseTimeにとっては一切問題ではなく、SenseTime独自のアルゴリズムも国際的な認可を得ていたので、問題はコンピューティングプラットフォームにあった。
汤晓鸥はgoogleやFacebook等の大企業のオープンソースにより、人工知能と深層学習へのアクセスはとてもたやすくなったと認識している。多くのエンジニアがGoogleやFacebook のオープンソースを使って模型を作る練習をし、応用を行う。
しかし、GoogleやFacebookのオープンソースを使うには制約が多く、オープンソースのシステムのコントロールを受ける。大きなことを成し遂げたいと考えるSenseTimeにとっては不都合に思うことであった。そのため、SenseTimeは独自のスーパーコンピューティングセンターを構築し、ディープラーニィングプラットフォームフォームを開発し、独自の基盤を構築するためにお金を費やした。
SenseTimeの設立当初、GPUクラスターがなかったので、一ヶ月ほど待たなくては検証結果が出なかった。2014年、5月百度はその当時世界最大のスーパーコンピュティングオープンソースのMINWAを構築し、144個のGPU接続を実現した。
わずか一年後に、SenseTimeが作ったディープラーニングのスーパーコンピューティングプラットフォームのDeepLinkは200個のGPU接続を備えており、当時にしては全国最大でした。以前は1ヶ月かかっていた計算を完了するのに5〜6時間しかかからなくなった。2015年11月にはSenseTimeのディープラーニングフレームワームであるSenseParrotsもすでに構築され、GoogleTensorflowが当時できなかった機能を作り出した。
2015年SenseTimeは世界トップクラスコンピュータビジョン学術会議CVPRの9論文に選出されました。ImageNet国際コンピュータビジョンチャレンジラウンドでの、検測数と、検測の正確さの二項目で世界一を獲得し、中国企業にしてはじめて優勝を勝ち取った。
ImageNetコンテストの優勝は、二つの主要な分野でSenseTimeの強みを証明した。「第一にブレインを確実にしっかり作れているということ、第二に、スーパーコンピューティングプラットフォームがとても強固なものであるということ」と徐立は相当な自信を持って述べた。
2017年までSenseTimeのディープラーニングスーパーコンピューティングセンターは6000個を超えるGPUを持っていた。今のところ、SenseTimeのスーパーコンピューティングセンターは14000個を超えるGPUを搭載することができ、アジアで最大級のAIスーパーコンピューティングプラットフォームである。
強固なディープラーニングスーパーコンピューティングセンターに基づいて、SenseTimeは一シリーズのAI技術を開発した。それは、顔識別機能、画像識別機能、文書識別機能、医療用イメージの識別、視聴率分析、無人自動車やリモートセンシング等を含むものであり、既にスマートシティやスマートフォン、インタラクティブエンターテインメントや広告、電車、金融、教育、不動産業等で応用されている技術だった。
汤晓鸥から見ると、AIという業界自体は存在せず、AIに加えて必ず他の業界のコンビネーションで成り立つと考えていた。AIは伝統的な産業と協力しなくてはならず、このような関係は結合であり、能力の最大化のカギであり、AIの勃興によって、なにかの業界の転覆に繋がることは絶対にないのだと言う。SenseTimeは独自の公式を創った。「1(基礎研究)+1(商品との結合)+X(他業界のパートナー)」この公式はオリジナルの技術を基礎として、コアプラットフォーム機能で複数の業界に力を与えるものだ。
基礎研究の面においては、SenseTimeは中文大学、精華大学、北京大学、上海交通大学、浙江大学と合同研究室を設立したり、科学研究所を展開して協力をしてきた。アリババと香港科学技術園と手を組み、AI実験室を立ち上げた。2018年、SenseTime連合実験室は総じて44編の論文がCVPR会議にて入選を果たし、37編の論文がEVVC会議に入選し、コンピュータビジョントップ会議に累計で81編の論文が入選した。
2018年2月、SenseTimeはマサチューセッツ工科大学院は共同で、人工知能連盟の成立を宣言し、人工知能の研究の促進に尽力することとした。SenseTimeはMIT Intelligence Quest計画に全世界で初めて参与した会社であった。
2018年4月、SenseTimeは華東師範大学等と、共同で全世界で初めての高校向けの人工知能の教材を発行し、精華大学付属中学、上海交通大学付属中学等、40箇所の国内の中学と契約を行い、人工知能の基礎課程授業を開設し、AIが教育を通して普及するよう推進した。
2018年9月、SenseTimeは中国の科学技術省から新世代の人工知能「インテリジェントビジョン」を授与されプラットフォームが出来るようになり、他の四つの国家AIプラットフォームはBaidu、アリババクラウド、テンセント、アイフライテックであった。
金稼ぎのユニコーン
2016年前半、SenseTimeは会社の管理にマネージャーを雇った。商務、HR、法務、財務、市場、PR等を含めた全分野の管理は、他の大企業の管理職から雇った者に任せた。現代技術の管理手段をより多く用いて、会社の枠組みを形成し、生産、研究、販売のチャネルを開き、大規模な販売チームを設立する。
業界の方向性として、SenseTimeはセキュリティ監視、金融、携帯電話、モバイルインターネットやディープラーニング等五大領域に注力している。SenseTimeはB2B2Cのビジネスモデルで、各業界の企業の協力を仰ぎ、共同で、顔識別システムが各業界において応用出来ることをアピールして言った。
「垂直領域においては、SenseTimeは先にトップ企業を見つけ、項目から商品まで、AI技術の着地点を模索し、そして、垂直的にその業界のビジネスモデルを引き出し、プラットフォーム化する。セキュリティ監視を例に撮ると、フロントカメラ、バックエンドプラットフォーム更にはチップチェーン全体で接続できれば、業界最大のテクノロジープラットフォームを実現できます。」と共同創立者の杨帆は説明した。
今のところ、SenseTimeはSenseParrotsプラットフォーム、スーパーコンピューティングセンター、そして他のAI産業の基礎上で、スマートフォン、スマートシティ、スマートトレイン、医療、小売業、教育、インタラクティブエンターテインメントなど18の業界における応用を結合させ、その業界ごとにあったAIの使用法を提供し、当技術と商品の結合が市場で落ち着くのを加速させた。
2015年以来、SenseTimeの携帯電話部門は実り多き成果を上げており、国内出荷量4位までの、Huawei、小米、OPPO、vivo等の大手は皆SenseTimeの顧客であった。SenseTimeはフェイスid、スマートフィルター、スマート加工、背景加工、スマートフォトブック等の画像に関する技術を提供していた。
例えば、SenseTimeは人工知能を用いて、SensePhoto携帯画像処理を使用して、しかる案件の処理を行う。OPPOの携帯電話にポートレート撮影、デュアルカメラモード、顔を識別したアルバムを作成する機能を付け加えた。
SenseTimeは今のところ、国内最大のインターネットビデオとライブブロードキャストを提供するプラットフォームのプロバイダーとなっており、90%以上のライブブロードキャストやショートビデオをアップロードするプラットフォームにサービスを提供している。例えば、SenseTimeは顔のパーツの追跡技術を使って、Tiktokや、Sina Weibo、FaceU、B612などに顔の特殊効果、美顔機能、ジェスチャの認識、前面の背景の分割機能等を実現させた。
金融もまたSenseTimeの最も早く足を踏み入れた領域の一つである。SenseTimeは最先端のカードOCR識別機能、ID認識機能、生体検出などの技術を用いて、多くの銀行、インターネットバンク、携帯電話会社にサービスを提供した。今のところ、SenseTimeは4億人以上に「顔スワイプ」の認証サービスを提供している。その業務量は、AIのスタートアップ企業の中ではトップである。
SenseTimeはまた、小売業にSenseGoスマートビジネスを提供し、課題の解決に貢献した。Suning Future Storeと手を組み、ユーザーの入店時の顔の認識のみで支払いまでを済ませることが出来るサービスを実現した。入店時の顔の識別は0.5秒もかからない。
2017年11月、SenseTimeは上海市政府と戦略的フレームワーク協定を締結し、人工知能産業クラスターを形成するために、5年以内に60億円以上投資し、1000任越えの規模の開発団体の総司令部を上海に設立した。この協定が達成された後、SenseTimeはShanghai NESA及び、ShanghaiLingangとの戦略的協定に署名した。
SenseDrive DMSはSenseTimeが発表した一番初めのスマート自動車ドライバーモニタリングシステム製品であり、ディープラーニング技術と埋め込み式チップ最適化テクノロジーの組み合わせにより、ドライバーの疲労、注意散漫、危険運転等のドライバーの状態をリアルタイムで計測、警告し、乗客の安全をつかさどっている。
今の時点で上海の各区にある何百ものシャトルバスの路線の内、既に38の路線がスマート改造を受けている。SenseTimeの「スマートキャビン」の搭載が出来れば、運転手の識別、疲労度、注意力等の状態をリアルタイムで計測し、警告を行うことが出来る。
そして、SenseTimeの最も大きな目標は自動運転技術である。2017年12月、SenseTimeはホンダとと長期の協定を結び、自動運転技術の深層研究を共同で行い、ホンダの車両コントロール技術システムをもとに、SenseTimeのビジョンコンピューティングと開発プラットフォームを融合して、共同で乗用車用のL4級の運転スキームを共同で開発するとした。
SenseTimeは2017年に既に黒字に達したと説明した。収入源は主に以下の三つである。一つ目に、スマートセキュリティ、二つ目に金融、三つめにモバイルインターネットである。汤晓鸥は、学術的なものは実装しなくては意味がない。私達は幸いなことに赤字の会社ではなく、しっかりと収益の出せる会社であるので、損得に関してはしっかりと自ら責任を取ることが出来る。私達の投資は偉大なことをするためのものであって、損をするためのものではない。
SenseTimeに投資しているのは、最初のラウンドで投資ししたIDG資本以外にも、CDH、Morningside、Everbright、Temasek、Tiger、Star VC、及び、アリババ、Suning、Qualcomm、WandaGroup等の戦略的パートナーも含まれている。最近のラウンドでは、ソフトバンクが10億ドルの投資を行った。SenseTimeは正に、全世界で最も評価額が高い人工知能の会社であると言えよう。
それだけでなく、SenseTimeは既に外国向けの輸血を始め、投資も決定している。今のところSenseTimeが対外向けに投資を公表している項目は51VR、禾连健康、Suning Sports、Film Technologyなどがある。計画されている投資分野にはAIチップ、医療、Internet of Things、携帯電話とインターネット、ゲームなどもある。
資本金の助力とディープラーニングプラットフォームとスーパーコンピューティングセンターの設立をもって、2018年以降、SenseTimeは全面的にプラットフォーム化の企画路線を構築し、SenseTimeの人工知能プラットフォームに依拠して、技術からビッグデータ、産業等における実装の効果的なクローズドループを実現しただけでなく、会社自体の為に持続的な収益能力を実装し、更にプラットフォーム化の業界参与モデルを立ち上げることにも成功した。
プラットフォーム化の産業能力が徐々に形を成してくる時、多くのアルゴリズムが生み出すサイクルの生産は標準化され、今日のSenseTimeはしかるようにして長くこのようなことに取り組む機会を得た。クアルコムの副総裁、沈劲は2018年SenseTimeと全面戦略協力を達成した後、「SenseTimeのような強い企業は、そのうち、もしくは現在既に人工知能のプラットフォーム級の会社になるだろう。SenseTimeはまさに発電所の様である。」と述べている。