【前編:旭酒造 桜井一宏×RPAホールディングス 高橋知道】成功した起業家/事業家の経験から学ぶ。彼らは何を意識し、どんな挑戦をしてきたか
目次
「OPEN SESSION」について
「OPEN SESSION」は、ビジネスでの成功や起業を志す若手起業家や学生起業家に向けた対談番組です。
RPAホールディングス・高橋知道社長がホストとなり、各産業でDXや地方創生に注力する起業家・事業家をゲストにお招きし、「過去・現在・未来」における挑戦の”一歩目”にフォーカスし対談を行います。「起業時に取り組んだこと」「起業家が意識すべきこと」など、起業や事業立ち上げ、運営のヒントを得られる対談となっています。
ー 桜井社長✕高橋社長のOPEN SESSION
今回は世界へ日本酒ブランド「獺祭」を広めることに成功した旭酒造・桜井一宏社長をお招きしました。
ゲスト:旭酒造株式会社 代表取締役社長 桜井一宏
1976年生まれ。山口県周東町(現・岩国市)出身。大学卒業後に東京で酒造とは無関係の企業に就職するが、2006年に実家の旭酒造に就職。2010年以降は海外マーケティングを担当し、2016年より旭酒造の代表取締役社長を務める。
ホスト:RPAホールディングス株式会社 代表取締役 高橋知道
大学卒業後、アンダーセンコンサルティング(現・アクセンチュア)に入社。現在のソフトバンクグループ株式会社を経て、2000年に新規事業を手がけるべく、後のRPAホールディングスとなるオープンアソシエイツを設立。RPAホールディングスは2019年に東証一部上場を果たした。
ー 桜井社長はなぜまず他の会社に入社したのか?
高橋: まず最初は他の会社に入社されたんですよね?
桜井:そうですね。酒蔵の中で生まれ育ちましたので、「酒蔵を継ぐんだろうな」と小さい頃から思っていたのですが、東京の方の大学に行ったことで酒蔵との縁が切れてしまいました。
自分が当時お酒のことを理解しておらず、思い入れがない状況でしたので、よそに行こうということでパチンコメーカーに勤めていました。
ー 旭酒造が海外進出!だがなかなかうまくいかない…
高橋:入社してからのお話を伺ってもよろしいですか?
桜井:入社当初はまだまだ今の「獺祭」というブランドは小さく、私の他にメンバーが十人いないくらいでした。製造メンバーが五人、両親も含め八人か九人の会社でしたね。
ですので、何でもやるということで、製造メンバーが最初に下働きを一年ほどやりつつ、百貨店の試飲販売、飲食店さんや酒屋さんのお酒の会をお手伝いしたりしていました。
高橋:なるほど。当初はいろんなことをされてたんですね。
桜井:多分私が使い物にならないと思ったのか、「お前は海外でやってこい」という話にいきなりなりまして(笑)
高橋:結構急な話ですね(笑)
桜井:それで海外に行くようになりました。そこからは海外メインでずっとやっていきましたね。
高橋:その時のお父様の狙いは聞かれたりしましたか?
桜井:私が「なぜやるんだ」と言っても、「そこは自分で考えろ」とずっと言っていました。
多分それをやることできちんと市場をもう一回つかんで欲しいだとか、東京に関してはだんだん「獺祭」というブランドが出来上がってきつつあったので、0からやる体験の方が意味があると思い放り出したんじゃないかと今は思いますね。
高橋:直接は聞かれたことはないんですね?
桜井:聞いたことはないですね。想像するしかないんですが、そこで強いものを身につけて欲しかったんだろうなとは思っていますね。
高橋:海外マーケティングもそれまでのルートはなく、0から開拓されたんですよね?
桜井:海外では2年目だったので、最低限のルートはあったんですね。卸の商社と一緒に行っている飲食店さん、酒屋さんが合わせて二十件くらいはありましたね。
最初は新規開拓を結構やっていたんですが、これがまたうまくいかないんですね。
ー 諦めない桜井社長。どのように挫折を乗り越えたのか?
高橋:どんな感じでやられてたんですか?英語とか言葉の面での苦労はあったんですか?
桜井:英語は全然喋れなかったんです。
高橋:え、そうなんですか。言葉の壁は本当に大変ですよね。
桜井:卸も営業も一緒にいろんなお店をまわるわけなんですが、また全然これが売れないんですね。
高橋:今とは違って、知名度がない中で、海外で新規開拓を行うのは難しかったでしょうね。どうやって突破されたんですか?
桜井:卸と一緒に営業をするのは違和感があったので、もう今扱っているお店のみに集中しようと思い、そういうお店だけに攻めに行ってたんですね。
そうなると「獺祭」というメーカーを知っていたり、味を気に入って使っているお店が多かったので、話も聞いてくれるんですね。
高橋 : なるほど。アプローチする対象を絞られたんですね。
桜井:そのお店に一生懸命やっていくと、そのお店の飲む方のお客さんがファンになってくれて。
高橋:それはよかったですね。やはりお客さんを味方につけることができると大きいですよね。
桜井:で、他のお店も紹介してくれるとか、他のお店に行って「お前のとこ獺祭ないの?」と言ってくれるなどの繰り返しでマーケットが大きくなっていった、というのはありますね。
高橋:なるほど。やはり人に紹介してもらうというのが、市場を拡大するにおいては効果的なんですね。
桜井:うちの父親も山口県に市場がない状況から東京に行き、何件かの酒屋さんや飲食店さんに救ってもらって、そこのお客さんを軸にマーケットを大きくしていったので、今思えばそこを追体験した部分はあると思いますね。
ー 挫折を乗り越え、市場の拡大に成功した桜井社長。どう事業を継承されたのか?
高橋:続いては、事業を継承された際のエピソードを伺ってもよろしいですか?
桜井:事業継承のタイミングは、比較的伝統産業にしては早い方だと思うんですね。
高橋:そうなんですか。なぜ早めに継がれることになったんでしょうか?
桜井:酒蔵業界で早めに継ぐところはまだまだ少数派なんですが、一つあるのが、大体伝統産業は父親がもう体力的になかなか仕事ができない環境になって継ぐことが多いんですが、そうなるとやっぱり非常にやっていきにくい。
高橋:そうなんですね。具体的にどのあたりが大変だったりするんですか?
桜井:経営者として教えてもらう部分も、経営者になることでしか分からない部分も教えてもらえない。
もう一つは例えば父が亡くなって継いだとすると、古参の社員が一気に抵抗勢力になるわけですね。
「先代の親父さんはそんなこと言わなかった」とか、「うちのやり方はこうじゃないよ」というと、文句が言いにくい状況が出来上がってしまうと思います。
高橋:確かに。古参の社員を味方につけないと次の代は大変ですよね。
桜井:ですが、その辺がない状況で継ぎましたので、古参の社員が「先代はこんなこと言わなかった」とか言っても、先代はここにいるわけですから、「じゃあ一緒に聞きに行ってみようぜ」とかそういうことができるので、非常にやりやすいタイミングで継いだ、とは思っていますね。
高橋:そこは本当に大きなポイントでしたね。後はさっきの新しいことに取り組まれたというのは、結果的に凄くプラスになったんじゃないですかね。
桜井:そうですね。やっぱり海外の市場を自分でつくったというのはこっちの自信にもなりますし、もう一つは「一応こいつちゃんと売ってるし、売ったやつの意図は聞いてやろう」という部分もありましたので、そこは非常にやりやすかったですね。
ー 両社代表が事業において意識するマインドは?
高橋: 事業家にとって常に意識するべきマインドってどういうものだと思いますか?
果たして「獺祭」を世界へ広めた旭酒造・桜井社長とRPAホールディングス・高橋社長は事業において何を意識しているのか?続きや詳しい内容は以下のYoutubeの動画をご覧ください。
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