【ステージ別】スタートアップに必要な法務支援と陥りがちなトラブル

【ステージ別】スタートアップに必要な法務支援と陥りがちなトラブル

スタートアップ企業として事業に取り組む上で、
「限られた時間とコストの中で最低限必要な法務の対策や支援は何だろう」
「どういったことに気を付けてどんな対策を取るべきだろう」と悩まれる方も多いのではないでしょうか。

新しい市場の創造を目指すスタートアップ企業は、既存の法規制が追い付いていない先端的な法務領域のビジネスに挑戦することが多く、さまざまな場面で適切な法務支援が必要になります。

一方で時間的・コスト的な余裕のなさから、対策が十分とはいえないケースも少なくありません。

そこで本記事では、ITベンチャー・スタートアップ企業を中心に250社超をサポートする弁護士法人GVA法律事務所(東京都渋谷区)の 代表弁護士の小名木俊太郎氏に、スタートアップ企業がリスクを回避しながら目的を実現するために必要な法務支援について話を聞きました。

同事務所は「世界中の挑戦者を支えるインフラになる」を理念として掲げ、最先端ビジネスモデルの構築や運営の支援、東南アジアのビジネス展開支援などを行っている法律事務所です。

OPEN VENTURES株式会社は弁護士法人GVA法律事務所と提携し、
スタートアップ企業向けバックオフィス業務におけるハイパーオートメーション機能サービスの提供をしています。

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【ステージ別】スタートアップ企業に必要な法務支援

シードステージ

−スタートアップ企業のシードステージにおいて必要となる法務支援について教えてください。

シードステージに最低限必要な法務支援は主に3つあると思います。1つ目は、事業アイデアの適法性調査です。弊所は最先端のITテクノロジーに関する知見があり、最近ではFinTechやHealthTech関連の問い合わせのほかに、ブロックチェーン関連の問い合わせも増えてきています。こういった分野に関する知見をベースに、事業の進捗レベルに合わせて法律を確認する必要性や、行政に相談するタイミングをアドバイスしています。

2つ目は、知的財産権に関する契約や社内規程、登録の有無等の確認です。例えば、システム開発を外注する際に知的財産権に関する契約書を交わしておかないと、自社ではなく外注先が知的財産権を持つことになってしまいます。そうならないためにも、システム開発関連の契約をあらかじめ確認しておくことが大切です。また、サービス名を決めてサービスを運用していく中で、その名称が既に商標登録されていることが分かった場合、後戻りができません。サービス名を決める際は、登録商標の記載をしっかりと確認する必要があります。

3つ目は、資本政策に関する点です。共同創業だったり、創業直後にエンジェル投資家の方に出資いただいたりする場合には、株主が複数人となります。株式は一度発行すると、買い戻すことが容易ではありません。そのため、どの程度の割合を付与するのか、会社を退職した場合に株式をどうするのか等については、あらかじめしっかりと設計しておく必要があります。

アーリー・ミドルステージ

−アーリーステージやミドルステージでは、どういった法務支援が必要ですか。

アーリーステージになると、サービスリリースを視野に入れた利用規約やプライバシーポリシーの作成が必要になってきます。そしてサービスリリース後のファイナンスでは、専門知識のある弁護士のサポートが必須です。その先のミドルステージではファイナンスのレベルがさらに上がるため、ここでもファイナンスに関するしっかりとしたサポートが欠かせません。

ミドルステージに必要な法務支援は、ファイナンスのサポートのほかに主に3つ挙げられます。1つ目は、契約書のひな型作成です。ミドルステージになると取引先が増えるため、必要に応じてすぐに契約書が作成できるよう、あらかじめ自社の法務基準を盛り込んだひな型を作成しておくことは、ビジネスを優位に進める上で重要だといえます。

2つ目は、ストックオプションの使い方です。弊所では、ファイナンスを行う企業にはストックオプションをいつどのように使うかの確認を行っています。ストックオプションはスタートアップ企業にとって強力な武器であり、採用の際に使うことでその威力を発揮します。弊所はストックオプションの発行のみならず、どの形式のストックオプションを利用したらよいか、どの程度発行したらよいかという点からアドバイスを行っています。

3つ目は、労務関係です。ミドルステージになって従業員が増えてくると、就業規則の作成が必要になる場合があります。弊所ではひな型を用意しており、それをもとにして最適化した就業規則の作成を行っています。就業規則以外でも従業員の対応など、労務関係で分からないことがあれば相談にのっています。

スタートアップ企業が陥りがちなトラブルと未然に防ぐための対策

陥りがちなトラブル

−ステージごとにさまざまな法務支援が必要になってくるのですね。あらかじめ全ての対策をしておくのは難しく、トラブルに発展してしまうケースもありそうです。スタートアップ企業が陥りがちな法律トラブルには、どのようなものがあるのですか。

労務関係でトラブルになることは珍しくないですね。スタートアップ企業は人の出入りが激しく、比較的簡単に人を採用してしまいがちですが、合わない人を採用してしまった場合にリスクがあります。日本の労働法は労働者を手厚く保護しており、雇用から2週間が経過すると退職してもらうのが難しくなることから、採用は慎重に行ってくださいとお伝えしています。

また、非常によくあるのが、シード期に必要な法務支援のところでも触れた、知的財産権契約の不締結に起因するトラブルです。たとえ外注先と契約を結んでいたとしても、ネットなどで見つけた契約書を内容を十分に理解しないまま流用しているケースが多く、トラブルに発展しがちです。契約書は委託者側か受託者側かによって条文が大きく異なり、その点を間違えてしまうと非常に不利な立場に立たされてしまいます。

トラブルを未然に防ぐための対策

−知らないうちに不利な立場に立たされてしまうことがあるのですね。こういったトラブルを防ぐためには、どうすればよいのでしょうか。

顧問弁護士をつけて、日常的にコミュニケーションを取る体制を整えておくとよいでしょう。弊所ではChatworkやSlackなどのチャットツールを使い、顧問先とラフにコミュニケーションを取るようにしています。事業を進める中で「多分問題ないだろう」と思うことでも、念のため事前に顧問弁護士に相談する習慣を身に付けておくことがリスクヘッジにつながります。

弁護士が監修している契約書のひな型を利用することも、トラブルを防ぐ上で有益です。弊所でも利用している「AI-CON Pro」は、弁護士が監修した契約書のひな型を用いて自動でレビューを行ってくれるサービスです。AI-CON Proにはさまざまな契約書のひな型が用意されており、AIがそれらとレビューする契約書をマッチングし、最も近いひな型を見つけ出して条文を突合します。これによって自社に不利な点などが可視化され、最適化された契約書が作成できるようになります。

具体的な対策例:弁護士法人GVA法律事務所の場合

月額1万円で最低限のリスクヘッジができる「スタートアップパック」

−顧問弁護士をつけたり弁護士監修の契約書を利用することは、時間やコストに余裕がないスタートアップ企業にとってハードルが高くありませんか。

弊所における顧問契約料の下限は基本的に5万円なのですが、スタートアップ企業の中には、創業したばかりで5万円を捻出するのが難しい企業も存在します。弊所では、そういった企業の法務に関する最低限のリスクヘッジを目的として、2020年10月に「スタートアップパック」というサービスの提供を開始しました。

スタートアップパックの特徴は大きく分けて4つあります。1つ目は、月額1万円という比較的安価に利用できる法律顧問プランだということです。

2つ目が、弁護士が監修した契約書等のひな型を27種類提供している点です。スタートアップ企業に必要な契約書を厳選しており、この27種類のひな型があれば、最低限のリスクヘッジが可能になると考えています。

3つ目が、先ほどご紹介したAI-CON Proのレビュー機能が利用できる点です。AI-CON Proが対応可能な類型の契約書であれば、AIがそれに最も近いひな型を見つけ出して突合し、チェックポイントや解説のほか、条文の修正に利用できる条文を参照することができます。これにより、弁護士に依頼しなくても自社に最適化された契約書の作成が可能となります。

そして4つ目が、毎月1回15分、弁護士にオンライン相談ができる点です。ご相談の内容に特段制限はないのですが、AI-CON Proを使って契約書をレビューした際に分からなかったところをご相談いただくことが多いですね。

−月額1万円で弁護士監修の契約書ひな型やレビュー、オンライン相談まで利用できるとは驚きです。

スタートアップパックは、法務に関する最低限のリスクヘッジをしながら弊所のサービスを知っていただきたい、との思いから生まれたサービスです。利用者の方からは「ひな型が用意されているので契約書作成時間が短縮できる」、「月額1万円で利用しやすい」といった声を頂いています。年間契約になりますので、スポットの法律相談だけではカバーしきれない部分についてもアドバイスができるのが利点だと思っています。

スタートアップ企業に適した法律事務所・顧問弁護士とは

ビジネス全体を理解した上での法務アドバイスが求められている

−「スポットの法律相談ではカバーしきれない部分についてもアドバイスができる」とはどういうことですか。

クライアントのビジネス全体を理解した上で、その時点での最適なアドバイスができるということです。全体を見ずにある部分だけを見て判断すると部分最適になってしまうため、過去の経緯や将来のグロースも含めて、ビジネスのステージや時間軸を意識した全体最適のアドバイスを行うべきだと考えています。

ビジネスの展開の仕方やグロースの方法、バリュエーションの規模やIPOの時期までを見据えた法務アドバイスは、スポットごとのアドバイスとは内容が大きく異なります。スタートアップ企業からは、そうしたアドバイスを行い、クライアントのビジネスに伴走できる法律事務所が求められていると感じています。

−スタートアップ企業が、自社に適した法律事務所や顧問弁護士を選ぶ際のポイントについて教えてください。

法律事務所や顧問弁護士が、クライアントのCEOの目線や考え方を理解した上で、求められている回答を適切に示せるかどうかがポイントです。弊所では日常的にクライアントのCEOとコミュニケーションを取りビジネスに伴走することで、より最適化されたサポートが可能になると考えています。

また、顧問弁護士はビジネスパートナーですので、コミュニケーションが取りやすいこともポイントです。弊所ではその点を意識しており、クライアントから「コミュニケーションにストレスがない」、「レスポンスが早い」、「少ない言葉で多くを理解してもらえる」などの声を頂いています。

クライアントのCEOに伴走しつつビジネス全体を理解し、スピード感のあるコミュニケーションで全体最適のアドバイスができる顧問弁護士は、多くのスタートアップ企業にとって強力な武器になるのではないでしょうか。ぜひスタートアップパックなどを利用して、実際に弊所の法務サービスを体感していただければと思いますね。

−自社のビジネスに伴走し、全体最適のアドバイスをしてくれる顧問弁護士の存在は心強いですね。本日はお忙しいところ、貴重なお話をありがとうございました。

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