「ゲーマー視点で、eスポーツ市場の未来を拓く」CLITCH×OPEN VENTURES対談

「ゲーマー視点で、eスポーツ市場の未来を拓く」CLITCH×OPEN VENTURES対談

OPEN VENTURESにとって初の投資先が「CLITCH株式会社」に決定しました。
それに当たって、今回はCLITCHの代表である佐藤将彦氏と、OPEN VENTURESの代表石井、アソシエイト今泉との対談を実施。投資決定に至るまでの歩みやこれからの展望を語り合いました。(写真:左からOPEN VENTURES 今泉、OPEN VENTURES 石井、CLITCH 佐藤氏)

株式会社CLITCHについて
自身のゲームプレイ動画のクリップ(短時間の動画)を掲載し、ゲーム仲間を集めるプラットフォーム「CLITCH」を運営。
現在、ゲームユーザーがオンラインで仲間を探すに際には、Twitterやdiscordに文面を掲載し募集をかけることが多い。しかしその文面だけでは募集主の「プレイスタイル」や「しゃべり方」などは伝えられないため、応募側も「自分にとって最適な仲間」かを判断しづらい課題がある。CLITCHはその解決を行う。
■企業サイト:https://clitch.life/
■企業Twitter:https://twitter.com/Clitch10

Twitterに投稿したアイデアが大きな反響を生んだ

――まずは佐藤さんが起業に至った歩みを聞かせてください。

佐藤:事業のアイデア、サービスを思いついたのは大学の授業中ですね。その時ゼミでビジネスプランを作りましょうという課題があったんです。それを考えるにあたって、僕の「今困っていること」からアイデアを探るべきだと思いました。僕はゲームが大好きで、仲間と一緒にゲームをプレイするコミュニティを持ち、リーダーをやっていました。理想としては、自分のコミュニティをもっとアピールして、新しい人を入れて楽しくゲームがしたい。でもそれをやるためには、いくつもハードルがあった。そんな状況を変えるアイデアがあれば良いと思ったんです。それを先生に相談したところ「今後伸び代があるから、スタートアップみたいな感じでやってみない?」となって。

石井:へー、先生が。

佐藤:その時は「スタートアップ」がなんなのかを知らなくて、『シリコンバレー』というドラマを薦められて観たんです。「なんだこれは!すごく面白い!」と衝撃を受けました。僕もスタートアップをつくってどんどん成長して、自分が欲しいサービスを作りたいと思ったんです。

――そんな経緯でサービスを練っていかれて、具体的に資金調達へと動き出したきっかけはあったんですか?

佐藤:僕がTwitterで、今のサービスの元になるアイデアを投稿したら、すごく反響があったんです。これは課題に対するニーズがあるなと確信して、一気にアクセルを踏みました。ゲーム界隈の歴史に名を残したいという想いもあって、「よしやるぞ」と。

本当にeスポーツが好きな人たちが集まったチーム

――そんな中で、OPEN VENTURESとはどんなかたちで出会ったんですか?

佐藤:OPEN VENTURESさんがやられているピッチイベント(OPEN PITCH Vol.4)に参加したのがきっかけですね。そこでピッチをした後に声をかけていただきました。

――今泉さんは佐藤さんにどんな印象を持ちましたか?

今泉:OPEN PITCHはピッチ後にメンタリングの時間があるんですけど、佐藤さんから「市場規模の調べ方を教えてほしい」と言われたのを覚えてますね。すごい新鮮で(笑)

佐藤:その時は市場規模って一体なんなんだと思ってて…すごく親切に教えていただきました(笑)。今まで僕が出たピッチイベントは、ピッチ後にアドバイスをいただける時間がなかったので、すごくありがたかったですね。複数人のメンターからフィードバックをもらえて、「ここが足りてないんだ」というのがかなり理解できました。

――石井さんはどんな印象を持ちましたか?

石井:すごいチームが来たと思いました。eスポーツ自体はビジネスとしての可能性や今後の広がりがすごく魅力的で、色々情報収集はしていたんです。ただ、いざビジネスを考えたときに、あまりとっかかりがないとも思っていました。実際、ちょっと儲かりそうだから”ノリ”でやってみる起業家さんも多い中で、佐藤さんのチームは違った。佐藤さんを含めて、eスポーツの10年選手みたいな方がチームにいて、本当にその領域が好きな人で構成されていたんですね。eスポーツという魅力的なマーケットの担い手として、これ以上熱量のある適任者はいないと思い、「新世代だ」と感じました。

お互いの未来像を確認して、どうビジネスをつくるか共に考える

――そんな出会いから、ハンズオンでのサポート、投資決定まで色々と歩みがあったと思いますが、その過程を聞かせてください。

今泉:まず僕が最初にやったのは、eスポーツ領域のキャッチアップですね。あまり触れたことのないマーケットだったので、ビジネス視点でマーケットを見て、佐藤さんをサポートしたいと思いました。佐藤さんのアイデアはすごく面白くて、オリジナリティもあったんです。さらにそれを広げていくために、マーケットをキャッチアップした上で僕からも様々なアイディアや示唆を出し、その中で佐藤さんに納得いくものがあれば見つけてもらい、すり合わせながら、事業案をブラッシュアップしていく、という形で進めていました。

――先導するというより、あくまで「一緒に歩む」という感じですね。

今泉:はい。佐藤さんが見ているeスポーツの未来と、僕たちが見ているeスポーツの未来が同じ方向を向いているのか。それを確認した上で、どうやってビジネスを一緒に作っていけば良いのかを探る。自分の中でも色々とアイデアを持ちながら佐藤さんと議論を重ねました。毎週打ち合わせを行い、手分けして色々な情報をリサーチし、二人三脚で事業計画資料を作りました。

――佐藤さんはその過程でどんなことを感じてましたか?

佐藤:今まで事業計画関連は全部一人でやっていたのですが、やっぱり突然変な方向行っちゃうんですよ(笑)。変な方向に走り始めて、色々やってみたことが「意味ないじゃん」となることが多かったんです。そのあたりをガイドしていただいて、色んな気付きがありました。

今泉:とはいえ、佐藤さんは市場規模の数字を出す時でも、ありもののデータをそのまま出さず、「このデータにこれを掛けると合計これぐらいになる」みたいな”方程式化”をちゃんとやれていたと思います。

石井:そうそう、あの辺の試行錯誤は結構重要だよね。スタートアップって誰かがやった成功パターンをトレースするものじゃなくて「新しいチャレンジ」なんですよ。だからデータがないのが当たり前なんです。だけど、その数字を自ら弾き出して「これが自分が見ている世界だ」と言うのって、意外と辛い。みんなから「それほんとなの?」みたいなことを言われたりするから。

佐藤:そうですね。

石井:だとしても、「自分はこう思っている」というのを言い切るスタンスはすごく重要。それをサラッと佐藤さんはやってきたので、良いなぁと思ったんです。

佐藤:ありがとうございます。

今泉:自分の主張を積み上げられず、なかなか事業が進まないケースも多いですからね。

きっと、ファイナンスがトリガーになる

――そうやってブラッシュアップを進める中で、今泉さんと石井さんも徐々に投資委員会に持っていけるんじゃないかと思い始めたんですかね?

今泉:そうですね、僕自身もマーケットの理解が進んでいき、「佐藤さん達が最終的にやりたいのはこういうことだろう」という落とし所が見えてきたんですね。事業性の評価、事業の企画が詰められてきたと思いました。その「大局的なマーケットの見方」と、そこに対する「攻め方」が佐藤さんの考えや思いとどんどん噛み合い、「いけるかな」と思いましたね。

――佐藤さんは調達が現実味を帯びてきたことで、心境の変化などありましたか?

佐藤:ミーティングで投資委員会で検討するという話が出て、ここまで来たことがなかったので、正直驚きました。「ほんとにいくんだ」と思って。「これは本当に気合入れてやらないといけない。とりあえずやれることは全部やろう、全て爆速でやろう」みたいな気持ちになりましたね(笑)。

今泉:佐藤さんは資料を作りながらも、常にユーザーへのヒアリングを進めたり、チームをマネージして機能開発を行っていました。そうやって努力する姿を見ていたからこそ、「ファイナンスがトリガーとなり、事業が加速するんだろうな」と思えましたね。

ゲーマー視点で、ユーザーの頭を覗き込む

――では、そろそろまとめに移ります。今後お互いが組むことで、どんなことをやりたいですか?

石井:直近は、ユーザーが時間やエネルギーを費やしてもいいと思う場と機能を作り切ることですね。その次は、メタバース的な方向で別の計画をするのも面白いなと思っています。それは我々としても一緒に動きたいです。

佐藤:はい。

石井:さらに佐藤さん個人には、リーダーとして、かつ”アイデアマン”として周りを引っ張っていてほしいと思います。佐藤さんと話す中で、「この人面白いな」と思った瞬間があるんです。コミュニティってユーザーを捕まえた後に、リテンションが重要ですよね。そこに対して佐藤さんは「ゲーム性のある機能を取り入れたい」と話されてて。僕には全くなかった発想、物の見方で、ユーザーの頭の中を覗き込んでるようだと思いました。「こんなことしたらみんな面白がるんじゃないか」という発想がすごいと思ったんです。あれは色んな課題に直面した時に武器になると思います。

佐藤:ありがとうございます。僕は市場を形成しているゲームコミュニティにはかなり詳しい自信があって、その方面でのアイデアや取り組みにはぜひ期待してもらいたいです。

今泉:佐藤さんは一つ一つの発想がすごくゲーマーネイティブなのが、刺激的で楽しいなと思いますよね。新しいインダストリーのトッププレイヤーになれるポテンシャルを感じるので、引き続き事業を力強く推進して行ってほしいです!長期的なゴールも見ながらも、目の前のことを少しずつ積み上げ、大きな結果に繋げることを期待しています。

佐藤:ありがとうございます。「ゲーマーネイティブ、ゲーマー視点」はそうですね。僕自身、これからの人生を生きていく中でゲームが自分の居場所なので、ちゃんとユーザーを見られる自信はあります。ユーザーの期待に、どんどん応えていきたいです。

ユニコーン企業になれる領域であり、コンセプトでもある

――佐藤さんは、OPEN VENTURESに期待することはありますか?

佐藤:僕自身はサービスを作って、周りのゲームコミュニティがもっと楽しくなってくれたらいいと思っています。そういった本質的にやりたいことへ集中させてもらえることに期待しています。ビジネスを作るアドバイスだけじゃなくて、バックオフィスなどのサポートもしていただけるので。

石井:はい、佐藤さんが100%事業成長に注力できるような支援をすることで、WinWinの関係になれればと思っています。OPEN VENTURESは投資方針として、地方創生だったり、DXの文脈を持っています。そのうえで、本当に特異な経験や能力を有している方がビジネスにフォーカスできる環境をつくる存在であろうとしています。佐藤さんはeスポーツという領域で課題意識や経験を持っているので、その特異な部分がさらにビジネスでうまく表現できるように、バックオフィスなども支援していきます!

佐藤:ありがとうございます。僕の夢は、CLITCHをユニコーン企業にすることです。そうなれる素質がある領域ですし、サービスのコンセプトでもあると思っているので、夢の実現を目指して頑張っていきます!

 

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