OPEN VENTURES投資先インタビュー|株式会社ウィズテックファーマ代表 ミン ジョンホ氏

OPEN VENTURES投資先インタビュー|株式会社ウィズテックファーマ代表 ミン ジョンホ氏

(写真:左からOPEN VENTURES 今泉、OPEN VENTURES 石井、株式会社ウィズテックファーマ ミン氏)

薬局業界の常識を再定義するエコシステムの構築を目指し、調剤薬局向けにクラウド型レセコンを展開する株式会社ウィズテックファーマ。
高難易度のプログラミング言語を操る少数精鋭のエンジニア集団を率いるのは、若き起業家ミン ジョンホ氏です。

この度、OPEN VENTURSによる、株式会社ウィズテックファーマへの出資が決定しました。
それに際し、代表ミン ジョンホ氏へのインタビューを実施しました。
OPEN VENTURESによる投資決定に至るまでの歩みからこれからの展望まで、貴重なお話をご紹介します。

「日本から世界的テックカンパニーを」若き起業家の野望と圧倒的行動力

-まず最初に、起業に至った動機を教えてください。

起業の動機は「Googleを超える世界一のテックカンパニーを自分自身の力で創出したい!」と思ったことです。

元来私は、何に対しても頂点に立つことを目指してきました。
たとえば、幼少期より様々なスポーツを経験しましたが、サッカーであればバロンドール、ボクシングであれば世界チャンピオンを目標に、練習に明け暮れました。

そして、大学生となり、精神的に成熟していくにつれて、自分のできる範囲で社会に最も影響を与えられることに挑戦したいと現実的な夢を持つようになりました。
そこで、冒頭の想いを胸に、テックビジネスでの成功を目指して、会社登記を行いました。

起業後は、どのようなビジネスを展開されたのですか?

正直にお伝えすると、Googleを超える企業創造への想いとは裏腹に、起業時点で具体的なビジネス構想はありませんでした。

そこで、どんな事業から始めようかと熟考した結果、自分ができることと社会が求めていることの共通項は「DXに関する技術」だと気付きました。
そして、高校生時代から学んでいたJAVAでのプログラミング技術を活かし、まずは自分がご飯を食べることを念頭に、受託開発事業に着手しました。

最初は案件を獲得するために、自ら電話でアウトバウンド営業をしました。
結果として、案件を獲得することはできたのですが、プログラム技術だけでは、設計や進め方が分からず、事業が行き詰まってしまいました。
そこで、協働者を探すため、アルバイトや長期インターン専門の求人メディア「キャリアバイト」に掲載されているIT企業に、次から次へと連絡を取りました。

私が最も信頼している弊社社員の望月と出会ったのはその時です。
「自分に付いてきてください!」と半強制的に勧誘した末、遂に経験者からアドバイスをもらいながら受託開発ができる環境を整えることができました。

薬局業界における事業を構想されたのはいつですか?

望月と共に受託開発事業を進める中で、株式会社E-BONDホールディングスと取引させて頂く機会がありました。
株式会社E-BONDホールディングスは、全国で調剤薬局を展開する企業です。

会長と頻繁にお話をさせて頂く中で、調剤薬局のシステム開発を任せて頂くことができました。
そこで、実際に調剤薬局で約1ヶ月間働かせて頂いたのですが、業界特有の課題に直面しました。

-どのような課題に直面しましたか?薬局業界で今最も重要と考える課題について教えてください。

薬局業界で今最も重要な課題は、調剤薬局ごとに患者のデータが連携されていないことです。

その原因は、導入されている調剤システムがオンプロミス型であり、それらのメーカーが調剤薬局ごとに異なることです。
そもそも調剤薬局では、調剤後に初めて患者の服用歴や健康状態をヒアリングするオペレーションが採用されています。

そのため、調剤薬局ごとに患者のデータが連携されていないと、患者の身体に合わない薬を用意してしまい、再度調剤をやり直す手間が発生します。
また、調剤士が多忙のあまり薬歴簿を記入できないまま、新しい患者と話しているうちに、誰と何を話したかを忘れてしまうケースを多く見受けました。

もし調剤薬局ごとに患者のデータが連携されていれば、調剤士が患者の服用歴や健康状態を事前に把握できるので、無駄な時間や手間、コストの発生を最小限に抑えることができます。

「薬局業界の常識を再定義」調剤薬局の新エコシステムを構築する挑戦

-現場での知見を踏まえ、現在取り組んでいる事業について教えてください。

現在、株式会社ウィズテックファーマでは、薬局業界における常識を再定義するための第一歩として、クラウド型調剤システムの開発事業に取り組んでいます。

より具体的にお伝えすると、これまで調剤薬局ごとに分断されていた患者データの連結を目的に、クラウド型のレセプトコンピューターを開発し、全国の調剤薬局で実装を進めています。

-事業を通じて、将来実現したい世界観はありますか?

ただ単に調剤システムを開発し、薬局業界が抱える無駄を省くだけでなく、将来的にはより大きなエコシステムを構築したいですね。

これまでの薬局業界の常識として「薬は薬局で受け取るもの」とされてきましたが、より本質的なDXを通じて、様々な既存概念や文化を再定義したいです。
たとえば、患者が病院で処方箋を受け取ってから、薬を購入するまでのプロセスをオンライン化できないか模索しています。

-薬局業界の常識を再定義する企業として、株式会社ウィズテックファーマの強みを教えてください。

株式会社ウィズテックファーマの強みは、社員間の信頼関係と技術力です

受託開発を2年間同じメンバーで取り組んできた結果、何でも気軽に話し合え、どんなに些細なことでも共有できる関係性を築くことができました。
大人数の組織では、社員間の信頼関係が希薄になりやすく、些細なことまで共有できない職場も少なくありませんが、その些細なことが大問題に発展する危険性があると思います。

一方、株式会社ウィズテックファーマは、少数精鋭の社員間で些細な気づきを共有し、プロジェクトの軌道をすぐに修正できるため、より高品質なサービスを提供することが可能です。
また、調剤システムの開発には、高難易度のプログラミング言語「Rust」を使用するため、開発者には高いプログラミング技術と、それを習得するための向上心が求められます。
そのような環境では、全社員が事業進行に必要不可欠な存在であり、私の心の支えです。

特に、前述の望月は、年収2,500万の生活を犠牲にして、私が自由に事業を展開できる環境を整えてくれています。
未熟な私と共に「面白いことをしたい」と歩んでくれていることに、感謝の気持ちでいっぱいです。

信頼できるパートナーOPEN VENTURESと目指す世界線

-資金調達に動き出した経緯について教えてください。

受託開発だけに限らず、自分たちの取り組みたい事業に手を伸ばしたいと考えたのが始まりです。
しかし、その時点では、企業体力が資金面や人材面で不足しており、受託開発で経営資源を確保することが優先されました。

そして、ようやく企業体力が備わってきたため、今年の初めから調剤システム開発を共に推進してもらえるVCを探し始めました。
その中で、OPEN VENTURES主催のピッチコンテストへの出場を経て、今回の資金調達に至りました。

ミンさんが出場した1dayメンタリング・ピッチコンテストの詳細は「OPEN PITCH Vol.8」をご覧ください。

-数あるVCの中で、OPEN VENTURESを選んだ決め手は何ですか?

OPEN VENTURESを選んだ決め手は、事業に対してフラットな立場で真剣に向き合える環境づくりをしてもらえたことです。

正直、出資を受けられなくても自分たちで事業を進めていく予定だったので、本当に必要とし合えるVCとしか組まないつもりでした。
また、OPEN VENTURESを含むRPAホールディングスは、これまで新規事業を次々に創出された経験があるため、そのノウハウをもとに今後もサポートしてもらえると嬉しいです。

-最後に、読者の方々にメッセージをお願いします

株式会社ウィズテックファーマでは、薬局業界のエコシステムを再定義するという壮大なビジョンの実現に向け、一緒に走って頂けるエンジニアを募集しています!
調剤システムの開発は、高難易度のプログラミング言語「Rust」を使用するため、エンジニアとして新しい挑戦が多くなりますが、事業を立ち上げる今のフェーズだからこそ成長できる部分が大いにあります。

エンジニアとしてご自身の市場価値を高めるとともに、薬局業界のエコシステムの再定義を一緒に目指して頂ける方からのご応募をお待ちしています。

OPEN VENTURES 石井代表コメント

新規事業創造で大切なのは、事業計画やお金のやり取りよりも、アントレプレナーシップを持ち、目標に向かって突き進む起業家自身の魅力です。

なぜなら、起業家として新規事業を成功させるためには、自分で考えて行動するオーナーシップと想定通りに物事が進まない中で、他人の意見を聞き、柔軟に軌道修正する力が求められるからです。
ミンさんは若くして両方の力を身に付けていると感じました。

他人の意見を素直に聞き入れながらも、自らの判断で事業を推進できる力が彼の強みです。

また、ミンさんは面倒なことに直面しても事業を前進させる推進力、周りを巻き込んでチームとして動ける統率力も備えています。
薬局業界の固定概念を再定義するエコシステムを構築するというビジョンの実現に向け、第一線で走り続けてくれることを期待しています。

OPEN VENTURES キャピタリスト今泉コメント

ミンさんは、薬局業界の知見が豊富で、プログラミング技術もあり、起業家としてビジネスを成功させるための要素を、性格を含めて兼ね備えているのが素晴らしいです。

新規事業においては、目を付けたマーケットが良いですし、実際に薬局での実務経験があり、チームに受託開発経験を持つ熟練のエンジニアがいるので、成功するだろうと感じています。
あとは、既存のシステムをどのようにリプレイスできるかが重要になりますが、目標達成に向けて着々と業界のネットワークを広げたり、営業活動をする胆力や行動力が数字として如実に表れているので、グリット力が圧倒的だと思います。

株式会社ウィズテックファーマについて

株式会社ウィズテックファーマは、調剤薬局向けのクラウド型レセプトコンピューターを開発・提供しています。

レセプトコンピューターとは、調剤薬局が審査支払機関へ提出する「診療報酬請求書」を作成するコンピューターシステムを指します。
既存のレセプトコンピューターは、オンプレミス型であるため、店舗が増える度にサーバー購入費が必要で、リアルタイムにデータ分析ができない等の課題があります。

これは調剤薬局のM&Aが活発な現在、グループ薬局にとっては大きな問題です。
そこで、株式会社ウィズテックファーマは、レセプトコンピューターをクラウド化し、初期費用を抑え、リアルタイムのデータ分析を実現することで、調剤薬局が抱える課題解決に挑戦しています。

これまでグループ薬局のシステムを受託開発して培った技術と、実際に薬局の現場で業務を体験したからこそ分かる課題感をもとに、全国400以上の薬局を有する薬局との取引実績を誇ります。

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